雨が降ってきてしまって家に帰りずらくなってしまいました。2件の喫茶店と図書館と公民館のロビーが僕の今日の居場所でした。
スマホで音楽を聴いていたんです。ブラジル音楽で「トリステーザ」ってのを何回も。イパネマの娘と同じぐらい有名な曲らしいんだけど、日本ではほとんど知られていません。サンバとかボサノバ(ボッサ)とかを好きな人なら当然知ってるでしょうけど・・・。
僕がこの曲を知ったのは、やっぱり喫茶店でした。それもそんな昔でなく、せいぜい10年ほど前。千葉銀座通りにあるドトールコーヒーです。ちなみにあそこの選曲はほんと素晴らしい。これまでたくさんの曲を教えてもらいましたね。60年代70年代の好きな僕には宝の山です。また、ジャンルも広い。キースジャレットのジャズ「カントリー」もそこで知りました。
ところで、この曲、前からメロディーは知っていたんだけど、何年も曲名がわからなくて困っていたのです。それがある時、歯医者さんでこの曲がわかりました。別の人のバージョンで流れていたんです。もっとゆっくりしたメローな感じで。
治療が一通り終わり先生が、「なにか気になるところはありますか?」と僕に聞きました。もちろんその治療をした歯について聞いていたのです。そこで、
「つかぬことを聞きますが・・・」と恐縮しながら聞いたんです。「なんでしょう」と先生。
「あのう、今、有線で流れている曲名を教えてほしいんですが」そういうと、先生はちょっと意表を突かれたようでしたが、「ではちょっと調べてみましょう」と実直に言ってくれました。そしてすぐにわかりました。それがこの曲「トリステーザ」。
実は家で、【リステーザ】で検索してもなかなか出てこなかったんです。Tが聞こえてなかったんですよね。よく発音しないアルファベットってあるじゃないですか。まさかトリステーザであったとは! 歯の痛みはすっかり忘れて上機嫌になりました。治療を終えて先生に「有難うございました」という僕。すると、先生、
「トリステーザ!」といって闘牛士のようなお辞儀をしたんです。思わず笑ってしまいました。「どういたしまして」とでも言ったように聞こえました。もう3年も前の話。いい思い出になりました。